科学的な天職の見つけ方【就職・転職に失敗しないために】

キャリアデザイン

この記事では、自分に合った「仕事」「就職先」「転職先」の見つけ方について解説します。

「今の会社に合わないから転職を考えている」「就職先をどこにするかイメージが沸かない」

などのお悩みに、新たな視点を提供する記事です。


「好きなことを仕事にしよう」という言葉は、キャリアを考えるうえで最も耳にするアドバイスの一つです。しかし、近年の組織心理学や行動科学の膨大なデータは、これとは全く異なる事実を示しています。

キャリア選択において私たちが抱きがちな直感の多くは、幸福度や仕事の定着率と相関関係にないことが判明しています。

ここでは、査読付き論文およびメタ分析の知見に基づき、「科学的に正しい天職の選び方」をわかりやすく解説します。

結論から言えば、次のステップを取ることが効果的です。

ステップ1:職務を5つの要素でスコアリングする。
ステップ2:「得意なこと」「強み」を書き出す。
ステップ3:選択肢と市場価値を知る。

しかし、その前に、多くの人が陥りがちなバイアスについて解説したあとに、これらのステップについて詳しく見ていくことにします。


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【理論編】捨て去るべき2つの直感

1. 「情熱を追求すれば天職になる」は誤り

「情熱がある分野を選べば幸せになれる」という考え方は、心理学では「適合マインドセット(Fit Mindset)」と呼ばれます。


一方、情熱は後天的に育つと考える態度を「育成マインドセット(Develop Mindset)」と呼びます。


つまり、「これがやりたい!と直感的に思っている」か否かです。

Amy Wrzesniewskiらの研究では、最初から強い情熱を持って職に就いた人と、特に強い情熱を持たずに就職した人の幸福度・職務満足度を長期追跡しました。

その結果、

勤務年数が経過するにつれて両者の満足度に有意な差は見られなくなりました。

むしろ「情熱さえあれば乗り越えられる」と考えていた層ほど、日常の単調な業務や困難に直面した際、早期にモチベーションを喪失しやすい傾向

が確認されています。

2.「高い年収が幸福を保証する」

これは有名な話なのでご存じの方も多いでしょう。

Daniel KahnemanとAngus Deatonによる有名な分析では、

世帯年収が約75,000ドル(約1000万円)を超えると、日々の感情的幸福感(Emotional Well-being)の上昇はほぼ頭打ちになる

ことが示されました。

給与の多さは「不幸を避ける」ための衛生要因にはなりますが、「満足度を高める」動機づけ要因にはなりにくいのが現実です。

なので、「金払いで仕事を選ぶ」のもいいですが、「最後二択で迷ったときに高い方を選ぶ」ぐらいが良いと思います。

【実践編】天職を探す3ステップ

ステップ1:職務を5つの要素でスコアリングする

ハックマン(J. R. Hackman)とオルダム(G. R. Oldham)が提唱した「職務特性モデル」をご紹介します。

これによれば、職務内容を適正にスコアリングすることで、「自分が何を重視しているのか」「自分に適している職務は何か」が可視化することができます。

・「自律性」(Autonomy)
※勤務形態、作業場所などの決定権が自分にある度合い
・「タスクの完結性」(Task Identity)
※仕事を最後まで全体的に関わり、目に見える成果物を生み出す度合い
・「タスクの重要性」(Task Significance)
※自分の仕事が、誰のどんな課題を解決しているかが目に見える度合い
・「フィードバック」(Feedback)
※成果や失敗、改善点が早いサイクルで自分に返ってくる度合い
・「協力的な人間関係」(Supportive Colleagues)
※業務上のミスや無知を過度に恐れず、助けを求め合える度合い

の5項目について、「現在行っている業務や職場」「将来就きたい仕事や転職先の候補」を各5点満点で客観評価します。


肩書きや業界のキラキラ感、初任給の高さに惑わされず、日々の業務設計そのものを採点します。

自分が直感的に「向いていそう」「これだけは譲れない」と思っていたことでも数値化してみると意外な発見があるかもしれません。

ステップ2:「得意なこと」「強み」を書き出す。

前述のように、情熱は「成果が出る」ことで後から発生します。

計算機科学者カル・ニューポート(Cal Newport)が提唱した「キャリア資本理論」や、自己決定理論の「有能感」から説明されます。

【強みの見つけ方】
・自分は平気だが、他人は嫌がる作業を思い出す
※「データの整合性をチェック」「長文を構造化してまとめる」「白紙の状態からアイデアを出せる」「他者との利害調整をする」「ルーチンを正確に回す」など。
「努力している感覚が薄いのに他人に感謝される領域」に原石があります。

・基礎を教わったあと、人より早く「コツ」を掴めた領域、あるいは自発的に調べ物を深めた分野は何か?

・他人のアウトプットや街中のプロダクトを見たとき、無意識にアラや改善点、細部の違いに気づいてしまう対象は何か?

・友人や同僚から、意図せず頼まれる相談や作業の共通点は何か?

これらを参考に、「得意なこと」「強み」を見つけていってください。

ステップ3:選択肢と市場価値を知る

結局、「隣の芝は青く見える」ということも少なくありません。

「選択肢を持つことで余裕ができる」ことは否定できないでしょう。


また、現在の職場でなかなか「自分に対する評価が低い」と感じているがゆえに、「自分には他の仕事が向いているのではないか」と考えている人も、一度市場価値を知っておくと目標や手立てが立ちやすいです。

自分が書き出した「強み」「得意なこと」が就職市場・転職市場で通用するかどうかは、プロのキャリアコンサルタントに客観的に評価してもらうことが肝要です。

まとめ

自分にとっての天職とは、占い師に「これが天職だよと言い当ててもらう」ことではありません。

そうではなく、

ステップ1:職務を5つの要素でスコアリングする。
ステップ2:「得意なこと」「強み」を書き出す。
ステップ3:選択肢と市場価値を知る。

という3つのステップを通して、実験・検証し、「少しずつ見つけていく」ことにほかなりません。

その際、自分の中の思考や職場環境だけで判断するのではなく、プロに相談することで、「客観的な市場価値」がわかり、「自分はどういうスキルを伸ばしたいか」「自分はどういう職務で社会に貢献したいか」が見えてきます。

客観的に自分を見つめなおし、様々な観点から「自分が人生をかけてやる仕事」を見つけていくとよいだろうと考えます。

検討を祈ります!

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